充分なことをしてあげられなかった・・・ |
管理人さんにご挨拶すると「残念なことでしたね」と一言・・・
誰もいない部屋に入るのは 気が進まなかった。
いつも寝転んでいたベッドには 聴診器とお数珠が置かれ
その上には 最期まで羽織っていた白いハーフコートが掛けられ
また 思い出してしまった。
「ベランダのプランターの土の片づけをして欲しい」と頼まれていた。
梅ちゃんはプランターで 野菜や花をいっぱい育てていた。
その所為か 鉢や発泡スチロールも数多く
取りあえずベランダから枯れた苗を掘りおこし土とゴミに分別した。
暗くなるまで終えたいと思っていたが そう捗らなかった。
もう一カ所のベランダは 次回にまわした。
そんな時の夫は 何も語らず黙々とこなしていた。
大きなナイロン袋7袋と小さな袋にゴミや土が集まり
エレベーターに何度も往復し一度に土やゴミを乗せ
マンション玄関の外に出した。
トランクに詰めた土は我が山に捨てることにした。
その土は 朝 軽トラで夫が山に持って行き 一つの仕事が完了。
落ちていく夕日を見ていた。
こんな綺麗な夕日を見たのは 今までにあったかな?
89歳になり 育った場所から近い神戸に住み始め
数年間でも海を見て暮らせたことは幸せだったかも知れない。
ここでご飯を一緒に作り 誰にでも「家にいらっしゃい」と声を掛け
手の込んだ料理をいつも机に ずらっと並べていた。
2~3年前まで 梅ちゃんを守る会のメンバーがこの場所に集まり
飲んだり食べたり・・・素晴らしいお持てなしだった。
楽しかったな~
偶には激しいトークもあり
固定観念を正そうと 意見をわざわざ言う夫と時々ぶつかり合っていた。
梅ちゃんは 私にこそっと「貴女 完ぺき主義のご主人といると息が詰まるでしょう~」と言われたこともあったが どう返事していいやら困ってしまって気まずい思いもしたが 今となっては懐かしい想い出となっている。
帆船を見たいと言い 神戸港にお連れした時は喜びご主人のことを思い出したのか感慨深げだった。
やすらかに・・・