家は冷蔵庫・・・外はポカポカ温かく |
木の守り神として残していたと思うが そろそろ採ってあげよう。
これほど 美味しい自然でタダのものはない。
夫はほとんど口にしない。
「春を味わって 少しだけ食べるもんだ」と いつも屁理屈を言う。
美味しいのは そんなことあらへん。
こんなんは 上品に食べられへん。
そんな詰まらん話をしながら 春の訪れを心待ちにしている。
古い木を残していたが 50年以上経つと葉に勢いもなく病気の様だ。
生き返りそうな気がして 数か月様子を見ていたが
夫は 切る決断が出来ずまた生き返るだろうと希望を託していた。
もう切っても誰も何も言わないだろう~
見ているだけで辛いから切って欲しいと頼んだ。
この木にも 別の木にも家族との色んな思い出がある。
心苦しく重い気持ちになっていた。
いつまでも元気のない木を残す訳にはいかない。
チェンソーで端っこから切って行った。
身を落とされる様な 切ない気持ちになった。
父と一緒に蜜柑を採った想い出や 「特別に甘い木や~」と言って
東京の伯父や伯母たちに 冬になると温州を送っていた。
寂しいな~
呆気なかった。
残りは もう少し乾燥してから根っこの方を切り込んで行き
引っこ抜こうと している様だ。
私よりデリケートな夫はこの木を切るのに決断がつかなかった。
やはり 両親のことや何とかして生き返らそうと思っていたんだろう。
気持ちを切り替えて 行くしかない。
しょげた気持ちでいると 夕食時にすこぶる機嫌の良い孫からfacetime・・・
夫は別人のようにニコニコし お祖父ちゃんの顔になっていた。
嬉しそうに ヘリコプターや自転車の話をしていた。
もう直ぐ 会えるからね。